蛇革の魅力を徹底解説!苦手な人にこそしてもらいたい!
「蛇苦手なんです。」
という方が稀にいる。
そういう人がいてもいいと思う。
好き嫌いはあって当たり前で、
オーダーの際にもパイソン以外で
という方は結構多い。
私も20年前はオーストリッチの良さが1mmも理解出来なかった。
鳥肌じゃん、、、みたいな、ボツボツ恐怖症みたいな感覚すらあったが
自分で作って使ってみて初めてその魅力を知るのだ。(オーストリッチの魅力は次回書こうと思う)
しかし、
「きゃー!蛇!そんなもの使って穢らわしい!」
と言われたことがあり、使うのが怖い
という方もいる。
私も百貨店販売をしていた時にそういうお客様がお見えになり
「蛇革があって怖くて入れないっ」みたいな。
良い年したオバサンが「怖くて入れない」って
あんた、こりゃ乾燥して加工されたタンパク質なんですけど。
食ってかかったりしないよ##
ぐらい不快なので、そう思っても、口に出すことはお勧めしません。
そんな方には一言「前世が蛙だったのかもですね〜〜。」
「 ・・・・・」
と言うようにしています。
これは失礼ですよね。
あなたのその今持っているへんな鞄も十分穢らわしいですよ
って自分が言われないとわからないタイプが、
平気でこういう事を言って
人を不愉快にさせるんです。
そんな方にパイソンの良さを知ってもらわなくていいので
どうぞここでお引き返してください。笑
いや、私だって生きた蛇を見て喜びませんよ?笑
あくまでも素材として素晴らしいものなので、
お勧めしているということです。
まず、革製品に使われるパイソンは種類が決まっています。
沖縄とかでハブの皮を使った財布などがありますが
基本的にインドネシアから輸入されています。
ほとんどが養殖となっており、途上国では大事な輸出資源です。
かわいそう!!なんて言葉もたまに聞きますが
彼らにとっては大事な資源であり
うなぎの養殖や魚の養殖と変わらない産業なのです。
彼らにとっては鰻の養殖となんら変わらん意識でしょうね。
私は20年前、蛇屋の社長さんに同行させて頂き、
インドネシア現地の工場を見学したことがあります。
高速道路を使ってジャングルの中にある村に行きました。
「この高速道路は日本人が作ったんだよ」と教えてくれました。
実はデヴィ夫人がインドネシアの整備に日本企業との架け橋をしたと聞いて
デヴィ様は時に時代遅れで炎上してますけど笑
素晴らしい貢献もしたのでありました。
働いている子たちは現地の若い男の子が中心で
ビール瓶のケースのようなプラスチックの箱を椅子にして
裸足でTシャツという出立ちで
せっせと働いていました。
板の上に捌いたパイソンを貼り付けたり、
余計な脂肪を石で刮ぎ落としたりしていました。
彼らの月給は月で5000円だそうです。(20年前の話)
日本の蛇工場の社長は、インドネシアに技術提供をしていて
新しい薬品などを売るわけです。
そしてインドネシアからは乾皮という乾燥された状態のパイソンを
仕入れ、日本の工場でクラストという染める前まで鞣し、
染革します。
もしくは生皮で輸入することもあります。
バケツに塩漬けにして輸入します。
輸入出来る蛇の種類は
★ダイヤモンドパイソン 柄が菱形でダイヤモンド模様なのでそのような名前になっています。
(全長12mぐらいまで成長する巨大パイソン、巨大パイソンは養殖ではなく天然のものが主になります)
★モラレスパイソン 模様は四角いのが特徴 鱗の出方が均一でダイヤモンドパイソンほど大きくはならないので
全長3〜4mぐらいが基本サイズです。ヨーロッパ系のハイブランドはモラレスパイソンを好みます。
★レッドパイソン レッドパイソンはあまり大きくなりません。1m前後蛇腹も細かいので私はあまり使いません。
★ウォーターパイソン 水蛇というものでやはり鱗が細かく私はあまり使いません。つなぎ合わせが面倒。
そのほかの蛇革はワシントン条約の規制で輸入は出来ませんが
たまにワシントン条約前のアナコンダなどがどこからか出て来て
レア素材に出会えたりします。
基本的にインドネシアの政府ががっちり絡んでいるので
(この国は賄賂と宗教なので警察もグル、政治家もグルです。正義など無いと思ったほうがいいですね)
日本人が現地に行って、簡単に仕入れが出来たり取引をするのは難しいです。
お金だけ支払ってものが届かない 何度電話しても社長が留守 なんてことが大概です。
現地の蛇工場の社長が架橋(中国人)だったりするので、色々察しますよね。
ガバメントにお金を沢山支払って
商売の権利を賄賂で買うような国同士上手く行っているのでしょう。
私もインドネシア滞在中に四つ星ホテルでパスポートを盗まれたり、
百貨店の前には武装したアーミーがいたりと
ジャカルタは全然安全な場所では無いです。
なので私は日本の商社を通して爬虫類の革を仕入れています。
ワシントン条約はかなり厳しいもので
日本に入れる時も出す時も一枚でも端切れでも、政府のサインが入ったペーパーが必要となります。
前に韓国にはパイソンが無いと聞いたことがあるので、やはり政府関係で色々な規制がありそうですね。
現地にもなめし工場はあり、製品も皮革もありますが
どれも日本人の目が肥えた層からすると
「あらそう、、、」という代物だということは想像に容易いですよね。
一眼で分かります。私も仕入れの時に一眼で分かります。
なので私は日本の工場で仕上げられた素材しか使っていません。
これも工場によってさまざまなカラーというか色々あるので面白いです。
あそこのパイソン染めはいいけど、個体が小さいとか
あそこは個体が良いけど、数が無くて高いだとか笑
どこも得意不得意があるので
私は出会いで仕入れていますね。
専門問屋で仕入れています。たまに浅草などの問屋街の素人も入りやすい牛革屋さんに
一枚だけ「パイソン!!!」みたいにブル下がってるんですけど
あれは絶対に買わないですね笑(買うやついんのかよ!ぐらいに思ってる🤣)
最近は目を奪われるイタリアカラベル社のパイソンとの出会いもあって
職人冥利に尽きましたね。もう在庫もほぼほぼ私が引き取ったといってもいいので
日本にはなかなか入って来ないと思います。
イタリアのカラベル社は特殊さが良いので、面白いものがあってワクワクします。
しかし、一流のハイブランド御用達のイタリアのタンナーであり
素材がもうブランド品なので簡単に仕入れられるものではありません。
定番のパイソンなどは日本のクオリティーも素晴らしいです。
日本のものはバックカットと言われる、背開きで蛇腹を中央に出したものが多く
鱗もカラベルより大きめでふわふわに加工されています。
手触りも素晴らしく、キメや肌感がとても滑らかで
革にある天然の指紋のような肌の目を確認できます。
そして何より鱗ですね。
鱗が天然のフリルのように重なっていて、これは型押しでは表現出来ません。
薄くて軽いから丈夫さが心配、、、
となりそうですが、牛革よりも繊維が細かく複雑に絡み合っているので
リザードもパイソンもクロコダイルも丈夫なんです。
全然破けない。
パイソンなんて本当に軽くて擦れに強いですね。
しかし何年も使えば四隅に穴が開くということもありますが
全ての素材も穴開くぐらい使ってるというものが殆どなので
パイソンだから穴が空いたわけじゃないと思います。
むしろその軽さに惹かれすぎて、こればっかり使ってたんだろうな、、、
というお直しの依頼が多いですね。
その場合、その破けた部分に牛革を乗せたりして当て革してまた使えるようにします。
使えば使うほど
これがリアルなパイソンなんだ、、、
と言う風に素材の素敵さが理解出来るので
まだ触ったことない。ちょっとイケイケすぎて怖い。印象が心配。
な引っ込み思案系穏やか女子にも
是非小物からチャレンジしても貰えたら嬉しいです!
金運UP,開運素材など経営者な方が好む素材でもあるので
お守りにもなる素材ですよね。
一般的な牛革に比べてお値段も3倍ぐらいが適正価格なので
牛革財布が2万円だったらパイソンは6万円
というのが一般的かと思います。
NANAOBAGではかなり頑張って良い素材を仕入れてなるべくお安くお届け出来るように努力しています。
問屋さんの協力もありますし、
現地で働いている青年たちの頑張りがあってこその素材。
その姿を見ている私としては
「蛇革キッモ!」の一言で片付ける浅はかさに、
日本という恵まれた環境で何不自由ないくせに
それしか仕事が無い環境で月5000円で働いてこい!
と思うし
また
動物愛護の観点からとか言われると
じゃあ現地の産業や彼らの仕事が無くなって
彼らは何を売ればいいか考えたことある?
と言いたくなるところ、
言わんけども 笑
なぜ、インドネシアでは爬虫類なのか。
それは宗教的なことが関係しています。
豚は禁止(革を触ることも出来ない)
牛は神聖
なわけです。
ラム革はギリギリ触れると言ってました笑
でも屠殺に関して厳しい規制があるようですね。
ちなみにマクドナルドの肉もラム肉だし(ワニかもしれない笑)
あっちこっちにケンタッキーがあります。
なので彼らは爬虫類を養殖して輸出しているわけです。
ちなみにパイソンのお肉はどうしているか、、、、
ワニくんのご飯になるのでした。。。。。
以上蛇の魅力を徹底解説とまではいかないけど
私の想いをまとめてみました!